2020年8月30日に「矢野絢子のNEWライヴサミットvol.2~コロナとココロ~」が開催されました。
ゲストは、東京で行われたvol.1と同じく、島キクジロウ(from東京)、中のひろのり(from山梨)。
耳六も配信チームとして参加しました。
会場は、高知市のお隣、いの町天王にあるカフェClef。初の、絢’sRoomを飛び出しての配信でしたが、お店のかたの快い協力があり、滞りなく配信することができました。当日会場に足を運んでいただいたお客様はもちろん、配信を見ていただいたかた、コメントいただいたかた、ありがとうございました。そして投げ銭を!いただいたかた、本当にありがとうございました。
アーカイブはYouTubeの矢野絢子チャンネルにありますので、まだ見ていないかたもご覧いただけます。2時間の長丁場ですが、三者三様のおもしろいお話が聞けますので、また、歌も歌っていますので、ぜひ見てみてください。こちら↓です。
このブログでも少しだけ内容をご紹介します。
全体の構成は、1人20分の持ち時間で、
①それぞれが話したいテーマについて話す(8分程度)
②そのテーマについてみんな(3人)で話す(12分程度)
③1曲歌う
これを、中の→島→矢野 の順番で、3人分おこないました。
その後、配信のコメントを紹介したり会場の意見を聞いたりして、最後にスペシャルゲストを迎え、合奏して終了となりました。
下に、3人それぞれの意見をざっくりまとめましたので、よろしければ読んでみてください。(と言っても長いですよ・・・)
※注意
・本人の発言と趣旨が異なった場合、適宜修正する場合があります。
・文章の一部を断りなく無断で複製・転載・印刷などに利用することは禁じられています。
テーマ1「科学の“不定性”と意思決定」
①【中のひろのりの時間】
科学としてのコロナの現状
- コロナについて、いろいろなことが言われている。何を信じればいいのか?
- 科学とは、繰り返し実験して検証できる場合に強みを発揮する。
- コロナについてはまだサンプルが少なく、仮説を立てることができる程度。“不定性”が大きい。
- だから現状では科学(者)に期待しすぎるのはよくない(科学を無視するのもよくない)。
- 科学の“不定性”を踏まえて、自分たちで判断(意思決定)する必要がある。
コロナによる制約
- お互いの権利がぶつかったときに最小限の制約が許される(例:電車で気持ちよく座るために席を譲り合う)。
- コロナで全国民が漫然と自粛している現状は、制約が大きい状態。例えば、東京に行ったというだけで2週間休まされる。
- きちんと検査を受けて陰性なら休まなくてもいい(制約しなくてよい)のに、検査をあまりしない。(なぜ?)
- 検査を増やすことで制約を少なくすることができる(検査の精度の問題はあっても)。そういう考え方が大切。
迷惑をかけることはだめなことか?
- 日本人の性質として「他人に迷惑をかけてはいけない」と言われる。
- そのため、迷惑をかけた人を攻撃してしまうことがある。
- 法律でも(ある程度)迷惑をかけることを許容している(公共の福祉・受忍限度論)。
- わざとではなく迷惑をかけてしまうときに、もう少し寛容にお互い様という気持ちを持てたらいい。
②【中のひろのりのテーマに対する意見交換】
- コロナが今までと違うところは、自己責任だけの問題ではないところ。
- 我慢していない人のせいで、感染が止まらない、自分の我慢が無駄になる、我慢の期間が延びるという特性がある。しかし、お互いに非難しあっていると思考停止に陥ってしまう。
- 感染症は今までにもあり、基本的に疑わしい人を隔離するということをやっていた。今は疑わしいかどうかよりも、「社会全体で自粛」というようになってしまっている。広く検査をして疑わしい人を隔離するというのは基本。
- 自粛と言われても人によってやり方が違うのに個人の活動に期待しすぎている。ある程度国が方向性を打ち出すべき。そうすればもう少し安心できると思う。
- 感染が怖いという問題のほかに、感染することによって他者から非難されるのが怖いという問題がある(特に地方)。
③【歌の時間】♪Walking in Berlin by中のひろのり
テーマ2「コロナと自由」
①【島キクジロウの時間】
人類の歴史と感染症
- 人類の歴史は感染症との戦いである。
- そのたび公衆衛生の大切さを知ってインフラ整備をしたり、国際的な協力で乗り越えるためにWHOを作ったり人類はいろんなものを獲得してきた。
- 今どういうふうにしたらいいか、わからないのは当たり前。
- だから議論していかなければならない。
国に対して何を求めるか
- 国によっては結果を出したように見えるところもある。
- 東京でも「緊急事態宣言」は大きな出来事だったが法律的にロックダウンは無理で、罰則なし、という状態だった。
- それを強制力のある(罰則のある)法律にしなければいけないか?
- 罰則があれば補償がセットとして付いてくるのが基本。
- そのほうが、金が出る出ないがはっきりするからよいという議論はあり得る。
緊急事態宣言と憲法改正
- 緊急事態宣言は強制力がないから、「憲法改正」しようという勢力がある。
- 改正しなくても一定の範囲内では強制力のあるものにできる。
- 「緊急事態条項」は、人権を強力に制限できてしまう。しかも「国会」を通さずに「政府」ができてしまうというところが重大で、それを憲法に入れようとしている。(中の)
- 憲法がそのままであれば法律で「緊急事態条項」が定められたとしても、人権に基づいてその法律と戦うことができる。
- だけど憲法の中に書かれてしまったら、憲法上制約されているから戦えない。
- その2つは致命的に違う。一緒にしてはいけない。
- こういう事態が起こったときにそれを利用して進める怖さを見極めなければならない。
②【島キクジロウのテーマに対する意見交換】
- 国が無策というだけじゃなく、結論が出なくても悩みが深くなってもいいからどこが問題なのかもっと必死で考えること。コロナはその機会になっている。
- 悩みがないやつが自粛警察になる。正義を確信しているやつが外れるやつを攻撃する。
- 自分で考えずに「権利を制約してください」というのはリスクにつながる。
- ひとりで考えるのが限界ならディスカッションして、納得したら意見を変えていい。
- 「自粛」と「Go to」、矛盾していて国が何を考えているかわからない。説明がないから自分たちの振るまいかたが見えてこないし、分断される。
- 一般の人を批判するのと、政治や権力を批判するのは違う。
- ドイツの首相は「今は規制せざるを得ない時期で、国は金銭的にもサポートする、医療従事者だけでなくスーパーの店員さんたちにも敬意を表して、乗り越えるためにみんなでやっていこう」と言っている。
- もちろんドイツとは法律的にも違うが、そういう説明をしてくれると、たとえ強制力がなくても「今はそういう時期なんだ」と国民が理解して行動に反映していくのは難しいことじゃないと思う。
- 日本のリーダーは国民に対する愛情を感じさせてくれない。ここ何年間か政治に対する不信感がありすぎて信頼関係が破綻しているのが悲しい。
③【歌の時間】♪長い夜 by島キクジロウ
テーマ3「コロナとココロ」
①【矢野絢子の時間】
コロナの影響と新しい視点
- 私にとってのコロナはウイルスじゃなく、いまこの状態を指す。
- コロナに対する恐怖はないが、コロナのおかげで意識の変革があった。
- それは、「地球で生きていた」という視点になったこと。
- ツアーやライヴなど音楽で生活していたのにそれができなくなってつらい中で考え、大事なことは「今までやってきたことを今まで通りやることではない」とわかった。
- 新しく、配信ができるようになった、家族との時間が増えた、高知のお店も知れた。根っこが増えた。
コロナと畑と環境問題
- あるとき自分の生活に違和感があり、気持ちを整理するために畑を始めた。
- 動物や虫、木々、自然、ウイルスも、人間にとって都合が悪い。それは、人間社会のシステムでしか物事を考えていないから。
- 地球は人間だけが住んでいるわけじゃないから人間だけのルールで考えたら行き止まりがくる、ということを、コロナが教えてくれた。
- 自然がきれいになったことで、今までどれだけ負担をかけていたのか気づけた。
- 人間がいなかったらこの世界は美しいという考えがあったから、つらくて環境問題を考えるのをやめていたし、大きな問題だから難しいと思っていたが、それは違う。
ノー還元ノーライフ
- 人間として還元していけばいいとわかった。
- 「ノー還元、ノーライフ」という視点で見ていけば、とまることはない。
- 私も自然の一部である。ハッピーになること、嘘をつかないこと。
- 善悪はない。自分の気持ち悪いことはしない。攻撃しない。
- 人間がこれまで何をしてきたかをちゃんと見てこれから何ができるか考えたら閉塞感がなくなった。
- サンキューコロナ!!(誤解を恐れずに言うと)
②【矢野絢子のテーマに対する意見交換の時間】
- 還元というか循環。グリーンリカバリー。
- (コロナによって)いろいろ変わってしまった社会を新しく戻していくときに、どういうふうに戻すかいろいろ選択肢がある。
- 循環が出来る社会生活、人としての生き方、環境との関わり方など強く意識して新しい時代を作っていく機会にしないといけない。
- 自然のために、ではなく、自分たちのためだと思う。
- 学ばない人は、それを選んで生きているということをわかっていればよい。
- 立場があると善悪はあるが、俯瞰してみる、見方を変えることはできる。
- 人間にとってのがん細胞。人間が死ぬとがん細胞も死ぬ。地球が死ぬと人間も死ぬ。コロナも同じだと思うから、BADなエネルギーじゃなくて「気づかせてくれてありがとう」とか「共存」とか、自分がここちよい視点になればいいと思う。
- 生きていくのに精一杯とか、立場によってはそう思えない人もいて、そういう人にまで強制することではない。それを責めるのではなく応援する方向にエネルギーを使いたい。
- 共感もあれば違う意見の人もいる、だから自分の意見を言うことは大事。
- お互いに非難しない。お互いの決断を非難することは絶対にあってはいけない。
- 事情をそれぞれ持っていて、その上の判断は自分とは違うかもしれないけれど、尊い。
- でも我慢ばかりもだめ。自分軸は一番大事。その上でいろんな意見を流していく。
- 自分がいいと思うことを実践する、そしてその姿を見せること。
③【歌の時間】♪露草 by矢野絢子
フリートーク・質疑応答
コメント紹介
- 多くの指導者が、自分(達)のことだけ中心に考えている人が増えている様な気がして、今後の世界がどうなるのか不安です。
- 今日から人を否定することは、やめよう。そう思えたお話でした。
コメントに対して
- 覇権主義に歯止めがかかるのではという気配はある。(島)
- 危機的な状況にあると、考えずに指導者を求めてしまう。それは、こわい。(中の)
- 基本的に自分のことは自分で考えよう。よりハッピーな自分を考えること。自分の世界の延長と考えること。そうすれば変わっていくから大丈夫。(矢野)
会場より
- なんとなく周辺にあるものを選んでいるがそれをもう一回選び直すときに、よりよい選択肢が増えて、発見につながり、いい方向にいけばいいと思う。
【最後に】
- 意見を言わない人や見えない人もいっぱいいるが、ここに来てくれたかたや配信を見てくれたかたには届いていると思っている。
- その人たちが、今日話したことをそれぞれ活かしていければいい。
合奏の時間
♪あしたはきっと by中のひろのり、島キクジロウ、矢野絢子、嶋﨑史香(スペシャルゲスト)
なんと合奏では、この1曲のためだけに嶋﨑史香が参加してくれました(当日の感想などをシマフミブログにも書いてくれています。そちらも合わせてぜひ!)
最後の合奏曲は、中のひろのりくんが選んだのですが、結局、「かわいこちゃんに会いに行くんだ!」っていう単純かつ素朴な動機を歌った歌になったところがとてもよかった。
最初にイベントの注意事項としてうたっていた「ハラスメント禁止」ということが、話の内容にも通じるところがあって、それぞれを尊重した意見交換ができたこともすばらしいなぁと思いました。「いや、そうじゃねぇよ!」って誰も言わなかったもんなぁ。
こうしてコロナ1つとっても、三者三様のテーマで、まさに「違い」を体験することができてとても面白かったし、勉強になりました。そして最後はひととして大切なことについて、自然に収束していったような気がします。
今このときだからこそ、自分で精いっぱい悩んでみる、考えてみる。
そしてそれを話してみる。
意見が違っていい。
納得したら変えてもいい。
一緒に考えるのもいい。
自分軸を大切に、非難せず尊重する。
これって特別なことではなく、いつでも大切なことではないでしょうか。
「この時代、どう生きる?」
正解はなくても、なにかひとつでも、誰かじゃなくてあなたの、生きるヒントになっていればうれしいです。
根っこを大事にしつつ、たくさん話そう。
かわいこちゃんに会いたいなぁ!という軽さも持って(私はいつでもめちゃくちゃ会いたいからそういう意味では大丈夫です)。
ねぇ、ここまでちゃんと読んだ人。
エロい!いや、えらい!
なんかあげる!
また書きます!